2007-8 Mori Design Office
■トラスの定義
 真直な部材で、ピン接合され、軸力のみを受ける、骨組み構造をトラスと言います。
  従って、トラス構造では、曲げモーメントは発生しないとします。
  なお、軸力の符号は、一般に、引張りを正、圧縮を負とします。

■静定トラス (改訂2014-2-30) 
 力の釣合いで応力および変位を算出できる場合を静定な問題と言います。 図1の場合、
 (1) 外力を部材方向にベクトル分解し、各部材に作用する引張り力を算出します。
    三角形の公式 a/sinθa = b/sinθb = c/sinθc を用いて、
    Ta = -F・La/Lc = -F・sinθa/sinθc
    Tb = F・sinθa/sinθc = F・sinθa/sinθc
    なお、Taの値は、圧縮力の意味で負(-)とした。
   応力は、部材の断面積で割って  σa = Ta / Aa  σb = Tb / Ab
 (2) 各部材変位は、フックの法則にて ヤング率Eとして、
    δa= Laσa/Ea  δb= Lbσb/Eb
 (3) 荷重作用点での水平および鉛直方向の変位は、近似的に、→詳細説明
    右方向:δh= {δacosθa + δbcosθb} / sinθc
    下方向:δv= {-δasinθa + δbsinθb} / sinθc
    但し、上式は 変位δaを、負(-)の値にしての代入とした。
 *圧縮部材の強度計算: 座屈荷重を Pkとして、 Pk>Tb
   オイラーの公式を用いて、 Pk = nπEI/Lb2  但し、両端共ピン接合の故 n = 1
  なお、本例(図1)で角度が直角の場合を材力演習問題に見掛けられる。

■不静定トラス
  一例として、図2について説明します。部材に左より添え字A,B,Cを付記して、
  力の釣合いは、
    水平方向 TA・sinθ- TC・sinθ= 0
    鉛直方向 TB + TA・cosθ + TC・cosθ- P = 0
    従って、 TB+ 2TA・cosθ - P = 0  -- (1)
  変位は、
    微小にて近似的に  δA= δC= δBcosθ
    縦弾性係数の式にて、δA= TALA / AAEA    δB= TBLB / ABEB  -- (2)
    LB = LAcosθ  であり、従って、 TB = ABEBTA / { AAEAcos2θ }  --- (3)
 
  従って、TA,TBは、連立方程式(1),(3)にて
    TB = P・ABEB / { ABEB + 2AAEA・cos3θ}    TA = TC = ( P - TB ) / 2cosθ

    変位はこれを式(2)に代入で求まります。

■仮想仕事の原理による解法
 単位荷重法で、特定箇所の特定方向の変位δを求める方法手順は下記の通り。
 ・与えられた外力下に於ける、各部材力Tk、軸方向変位δkを前述の如く算出する。
 ・求むべき変位の箇所に、その方向の、大きさを1とする外力 F' を想定し、
  この仮想外力のみが作用する場合の各軸力T'kを算出する。
 ・仮想仕事の原理にて、求むべき変位を下記式で算出できる。
    δ=k Tk・Tk'・Lk Ek・Ak または δ= k買ツkT'k
    なお、 添え字k:部材No.  L:部材長さ, A:部材の断面積, E:ヤング率


 静定トラスの例の図1の場合、
 C点での鉛直撓みδvは、この単位荷重法で容易く求めることが出来る。(右図3)
   δa= δaT'a + δbT'b    なお、 T'a= sinθa/sinθc  T'b= sinθb/sinθc


■ 静定トラスの一般解法 (rev 2014-2-7)
 下記は キングポスト・トラスの例で、表中の赤下線で示すように、上弦 AG, GE に大きな力(圧縮)が作用する。  →軸力の算出詳細
強度計算・実践への一歩
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