平板の強度計算(2011-02-25 お問合わせの回答)
境界条件が固定の平板の上面に、任意点に集中荷重が作用する場合
に対し、当方のソフトは対応していませんが、当方のソフトを用い
て、下記の概算を行う方法があります。
(a)固定板に集中荷重Pが 板中央に作用する場合は、 各点の撓みδ
及び 各点の曲げモーメントMを計算できる。その最大値は、
例えば、正方形板、ν=0.3で
δ= 0.00560・W・a^2/D (荷重点の直下で)
M = -0.1257・P (固定辺の中央で)
(b)固定板に集中荷重Pの荷重点が 板の幅L端LからL/3にある場合が、
曲げモーメントがほぼ最大であり、この概算値は、
例えば、正方形板、ν=0.3で
M ≒ -0.16・P (固定辺の中央で)
(c)強度計算安全サイドの値として、境界条件を全周固定の代わりに、
2辺が単純支持、他2辺を固定とする事が出来る。荷重を微小面
への載荷重(部分荷重)として、任意の載荷点に対し各点のδ,Mを
計算できる。
例えば、上記(1)に対比して、板中央荷重点の値は
δ= 0.00702・W・a^2/D (1)に対し25%増し
M = -0.163・P (1)に対し30%増し
なお、板固定辺に近い点ほど条件が(1)に近くなるので
値の差が小さくなるはずである。
(d)固定板に集中荷重Pの荷重点が 板の端、即ち矩形の辺にある場合、
δ,M 共、全面で零である。荷重点が任意位置に対するδ,M は、
上記(a)(b)とより比例計算にて概算算出できる。
上記(b)の説明
(1)梁の計算では、曲げモーメントが最大となる、集中荷重の位置は、
全長さの1/3の位置となっている。即ち a=L/3, b=2L/3 として
M = PL^3/a/b^2 = 4PL/27 であり、a=b での M = PL/8 の1.18倍
となっている。
(2)板の計算でも、曲げモーメントが最大となる、集中荷重の位置は、
全長さの1/3の位置近辺と仮定する。
(3)固定板に等分布荷重が作用する場合の曲げモーメント値は、計算
することができる。M = -0.0513・p・a^2 = -0.0513W (但しν=0.3)
(4)固定板に三角分布荷重が作用する場合の曲げモーメントの最大値
を、モーメントの係数表(ポアソン比ν=0.3とする場合)で 計算
することができる。尚、荷重の重心位置は、L/3 となっている。
正方形板の場合 M = -0.0334・p・a^2 = -0.0668・W
(5)上記(4)と(5)を比較し、分布荷重での曲げモーメントは、荷重の
重心位置 L/3 のは重心位置 L/2 の場合の 0.0668/0.0513 =1.3 倍
となっている。
(6)従って、上記(6)を用いて、任意位置の集中荷重に対する、曲げ
モーメント値を概算推定することができる。
0.1257x1.3 = 0.1634≒0.16 なので 板幅Lに対し 端より L/3 位置
に作用する集中荷重Pによる固定辺中央に発生する曲げモーメントは
正方形板で M ≒ -0.16・P となる。
長方形板、任意のポアソン比に対しても同様に算出できます。
注、板計算での曲げモーメントの単位は、荷重と同じです。
■三角分布荷重を受ける周辺固定板の たわみ 及び モーメント
条件:ポアソン比 ν= 0.3
b/a 0.5 2/3 1.0 1.5 ∞
α 0.000080 0.000217 0.00063 0.00110 0.00130
β1 0.00198 0.00451 0.0115 0.0184 0.0208
β2 0.00515 0.00817 0.0115 0.0102 0.0063
γ1 -0.0115 -0.0187 -0.0334 -0.0462 -0.0500
γ2 -0.0028 -0.0066 -0.0179 -0.0295 -0.0333
γ3 -0.0104 -0.0168 -0.0257 -0.0285 ----
但し、各係数
α =δ・D / (poa4) at @ x=y=0
β1 = M x / (poa2) at @ x=y=0
β2 = M y / (poa2) at @ x=y=0
γ1 = M x / (poa2) at Ax=a/2, y=0
γ2 = M x / (poa2) at Bx=-a/2, y=0
γ3 = M y / (poa2) at Cx=0, y=±b/2
ここに、M=モーメント[kgf]、δ=たわみ[mm]
D=板の曲げ剛性[kgf・mm] po=分布荷重[kgf/mm2]
2011-02-26 Mori Design Office
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