部材強度と人命
■エキスポランドのジェットコースタ事故 (2007-5-5)
 若い人命を奪ったあの痛ましい事故から一ヶ月半になります。 事故原因として、定期部品交換されない為、金属疲労によるとなっているようです。
 事故が発生する前に指摘がされていたらと、保守の条例も整備されていたらと、悔やまれます。

 事故当時、強度仕様に関しての誤報、最初はどこかの助教授が80φ(直径80mm)軸の「中央」において金属疲労による破断と解説された。 その後、
 車体の「外側」の軸段部で破断と報道され、更に、軸の車体「内側」の段付きネジ根元50φの所で破断と報道された。 しかし私には、公開された
 破断部写真からはどう見ても破断部の直径はその半分ぐらい、受けの外径が180の図面からして、例えば30φのように思うのですが。

 人命事故が発生したからには、強度技術内容についても誠意のある取扱がされるべきと、また、破断部写真は警察からのホームページ公開があって
 よいかと思います。マスコミの知る権利は耳にしますが、人命に係わる技術は、エンジニアは知る責務があると思います。

 金属疲労と言う言葉が使われていますが、ジェットコースタは、運転コースが決っていて、何年乗ろうが金属疲労はあってはならないはず。 私の乗用車
 2500cc約4トンの車輪軸の軸受の外寸法で50mmで、即ちジェットコースタ180mmより可也細いですが、車軸の定期交換なんて聞いたことがありません。
 現在のところ矛盾していますが、力が作用する場所でないのに、金属疲労で破断されたとなっていて、今後の検査結果報告が待たれます。


■福岡「海の中道大橋」転落事故 (2006-8-25)
 追突されたRV車が歩行者用防護さく (手すり)を押し潰して 夜の海に落ち、3児の人命を失う痛ましい事故でした。
 国土交通省では、「防護柵(さく)の設置基準」で「橋梁(きょうりょう)区間は、通常歩道がある場合、車両の転落を考慮する必要はない」に、準じ
 てはいたけれども、幼い命を奪ってしまった事に対し重大な過失として、 750mのガイドレールを来年完成を向けて総工費1億円の新工事を行っている。
 これにて、現行の手すり柵 (1.1m高さの鋼製)静的水平強度250kgf/m の から 25トン車両の時速30kmの衝突に耐えられるガードレールに、
 すなわち、国土交通省が決めている車両用防護柵の強度に強化される事となる。 ただ、高さが750mmと低くなる歩行者自転車の方は少し注意。


■ホテル・マンションの耐震偽装
 震度5強で倒壊の恐れがあるという「姉歯案件」は、調査が進む毎に拡大し2005年暮れ 50件にも達した。 今年2月にはアパグループが問題化している。
 国土交通省が、構造計算プログラムの改訂など、耐震強度偽装の再発防止対策を試み、今月6月より改正建築基準法の施行されている。
 今までのところ大事に至ってなく本当に幸いであるけれども、強度設計に関する違法行為は人命に係わるだけに、ここまで拡大すると大きな社会的犯罪と
 の認識が必要と思います。

上記リンク先は「新聞社」や「かたちのココロ」です。 「強度計算・実践への一歩」へ戻る
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2007-6 Mori Design Office